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投稿

五味太郎とペンギン親子に夢中

ずいぶんお久しぶりです。 いろいろな事情でしばらくこのブログをお休みしておりました。 書き出すとつい没頭してしまい、もっと目の前の子供との時間を優先するべきではないかと思ったり、目を傷めてしまったり。ブログの無期限休止の考えも頭をよぎりましたが、続けてほしいとの声もいただき、なんとも半年ぶりに新しい投稿を書いています。 読者のみなさん、お元気でしたか。新しく立ち寄ってくださったかた、はじめまして。 もちろん、私の絵本好きからくる息子への読み聞かせはお休みしていたわけではありません。むしろ、一歳を少し過ぎた頃から絵本への反応がどんどん積極的になって、ますます親子で一緒に読む時間を楽しんでいます。 まず、お気に入りの本というのがあって、それを毎日毎日自分で本棚から引っ張ってきては「ねえ、よんで、よんで」と言わんばかりに膝の上にのって読み聞かせをせがんでくれます。 それだけでもとってもかわいいけど、目を見張る成長といえば…最近こちらが話すことを理解し始めた彼は、絵本の内容もしっかりわかっているのです! 特に今日ご紹介するこちらの二冊は目下の大のお気に入り。まずは五味太郎さんの 「たべたのだあれ」。一歳になる前に買い与えた頃はまだ反応が薄かったのが、今ではページをめくるたびに「○○たべたのだあれ?」とこちらが問いかけると、絵を指さして「ア―、アー、」と答えてくれます。 もう一冊、息子を虜にしているのが畳の上に写っている「ぺんぎんたいそう」。親子ペンギンと一緒に、腕をふったり、足をあげたり、お尻をふったり。ほんとうにそのしぐさをまねながら何度も何度も自分でページをめくるんですよ。 最初それをしだした頃はびっくりしました。近所の図書館の司書さん一押しの絵本としてお勧めいただいたのですが、ほんとうに大当たりです。 昨夏日本に里帰りして以来、たくさんの日本語の絵本に触れ、気に入ったものは惜しまず買って集めてきました。なかには新しく出逢ったものだけでなく、子供の頃に私自身が親しんでいたけどもう手元にはなくて改めて購入したものもあります。 また普段から読書は基本的に原版の言語で、という考えの私ですが児童書に限っては日本語訳を選ぶこともあります。それは、またイタリアに戻っても日本語での語りかけや読み聞かせに力を入れていきたいから 。 あとは、今日は登場しませんが大好きなディック・ブルーナ...

絵本をめくりだした息子

ひさしぶりの投稿です。 日本にしばらく里帰りすることになり、この記事は実家の勉強机で書いています。 こんなご時世で帰国するにもいろいろと大変な思いをしましたが、ようやく両親に初孫の顔を見せることができました。毎日目じりを下げて息子の相手をしてくれる両親を見ると、本当に帰ってきてよかったと満足です。 息子もすぐになついてくれてジイバアといると楽しそう。イタリアでは3人暮らしだったけど、こちらでは家族が増え彼にも良い刺激になっている気がします。 月齢も10か月を過ぎ、できることがますます増えてきました。つかまり立ちが安定してきたので、10か月の誕生日にはファースト・スニーカーを履かせて公園へ。靴を履いただけで、赤ちゃんからぐっと幼児らしく見えました。 歩き出すのはまだ先だけど、脚の筋力がすごいです。伝い歩きはずいぶん前に始めましたが、今や自分の肩より高いベッドやソファーにもひょいとよじ登ったり、ときどき5秒くらい何もつかまずに両足で立ってみせたりして私たちを驚かせてくれます。 絵本を与えたときの反応もちょっと変わってきました。自分でページをめくるようになったんです。初めてそれをしたのがこの本。先日再会した友人からお祝いにもらいました。ミッフィーちゃんが大好きな友人らしい、可愛らしい図鑑です。 日本語と英語で動物や乗り物、食べ物の名前、それから数字やあいさつなどが載っています。ここに手書きでイタリア語もくわえて3カ国語図鑑にしました。 「これ、おうちにあるね。」とか「これ、持ってるよね。」なんて話しかけながら読み聞かせています。 イタリアへ戻るのは来年夏の予定。それまでにどれだけ日本語を吸収してくれるでしょうか。向こうに持って帰るつもりで、あいうえお や にほんご の絵本も数冊揃えました。どれも素敵なのでいつかご紹介したいです。 あいうえお はよく積木のおもちゃにもなっていますね。わが家にもこんなのがあります。実は私のおさがりなんですが、三十数年のヴィンテージとは思えないほど良い状態で両親が保管してくれていました。 帰国したその日からずっと息子のお気に入りで、両手に一つづつもってたたき合わせたり、口に入れたり、上に座ったり。これがあるといつも機嫌よく遊んでくれます。 同じ木のおもちゃでも、一昔前のものって格段に質が良い気がするのは私だけでしょうか。塗装も剥げなないし、色味...

うつりゆくもの

季節はめぐって今日から水無月、6月ですね。 イタリアには梅雨がないので、散歩したいときは初夏の日差しを避けて日陰を選ぶようになりました。あるいは夕方、といってもこちらは夜8時でもまだ明るいのですが、夜ごはんの後に歩くのが気持ち良い時期になりました。 私たちは川のそばに住んでいるので、家のすぐ隣の橋を渡って反対岸の住宅街をしばらく歩き、もう一本先の吊り橋をまた渡って川沿いをぐるっと一周するコースがこのところのお気に入りです。 1時間くらい歩くことになるので昼間だとちょっとばてそうになりますが、橋を渡るときは川面から涼しい風が吹いてきて気持ち良いし、緑がたくさんあるので鳥の囀りなんかもよく聞こえてきます。 日本は今年、異例の早さで5月に梅雨入りしたと聞きました。もし梅雨明けも早まるのなら、真夏の猛暑もいつもより早く襲ってくるのでしょうか。この時期になるといろんなところで見るのが楽しみだった紫陽花がそろそろ綺麗に咲きだすのかなと想像していますが、お天気のサイクルがずれてからっからに枯れてしまわないかちょっと心配です。 こうやって季節の花の話をすると、日本ほど四季の移ろいを自然とともに感じる国はそうないような気がします。 今住んでいるイタリアにも四季はありますが、梅雨がないからか紫陽花も日本ほど地植えで咲き乱れているところを見たことがないし、秋は短いので紅葉狩りというほど色づいた木をゆっくり楽しむこともありません。日本では束の間に咲いては散っていく花に儚い美しさを見ていた桜も、こちらではどちらかというとサクランボのなる木として見てしまいます。 そんな日本から来た私の心の琴線に触れた絵本がこちら。 もし私が日本語で出版するなら「うつりゆくもの」と題するでしょうか。原文はフランス語のようですが、こちらのイタリア語版を少し前に近所の図書館で借りて読みました。 この本を最初に目にしたのはたしか2019年のボローニャ国際絵本見本市。表紙の絵が印象的でいつか読んでみたいと思っていました。大人が手にとっても美しいと思えるようなちょっとした仕掛け絵本で、現れては消えてなくなるものが半透明のページを前後にめくることで表現されています。 悲しい気持ち、ピアノから奏でられる旋律、淹れたてのコーヒーの湯気、掃いてもすぐまた溜まる埃など。イラストの雰囲気や表現力も素敵ですが、その例として挙げられてい...

赤ちゃんの視覚発達に良い絵本

 赤ちゃんの本をもっと探してみたい と前回の投稿に書いたとたん、先日こんなセンスの良い0歳児向けの絵本をプレゼントしてもらいました。 贈り主は半年ぶりに再会した友人。大学院の下級生で、普段はアートマネジメントを研究しながら花の油絵を描くアーティストとしても活動しています。まだ彼女にこのブログのことは知らせてなかったのですが、「ちょうどこんな本が欲しいと思っていたところなの!」と大喜びで受け取りました。 La mia giornata、つまり「ぼくのいちにち」というタイトルで、赤ちゃんが朝目覚めてから夜またお布団に入るまでの一日がモノトーンに黄色の差し色だけを使ったイラストでかわいらしく描かれています。 以前どこかで、人は生まれてしばらくはパステルカラーのような淡い色が識別できないため、赤ちゃん用のおもちゃや本にはビビッドカラーがよく使われていると読んだことがあります。たとえば「うさこちゃん」でお馴染みのディック・ブルーナの絵本なんかがそうですね。 でも、この本はさらにその一段階前の、色そのものの識別さえこれからという新生児にも適しているようです。というのも、表紙にstimoli visivi in bianco e nero(白黒で視覚の刺激)とあるので気になって少し調べてみたところ、白黒の絵はコントラストが強いため視力が未熟な生後間もない赤ちゃんでも認識しやすく、結果的に視覚の発達や脳の刺激を促す効果があるとのこと。 なるほど、そんな科学的根拠に基づいて出版された本だと知ると、一見シンプルなようでなんとも奥の深い作りに感心します。毎ページにスライド式のカードが組み込まれていて、それを引き出すと背景の白黒が反転した別の絵が飛び出す仕掛けになっています。 息子にもすぐに大のお気に入りの本となり、そばに置くと夢中で飛びつきます。上や横にカードが伸びてくるのも面白いみたいで、読み聞かせると目をキラキラさせながらキャッキャッと大笑いしてくれ、他の絵本では見せなかった反応にこちらも嬉しくなりました。 どのページもbuongiorno(おはよう)、mi vesto (きがえるよ)という調子で簡単なフレーズが一つだけ書いてあり、自由に絵を見て語りかけながら読むのが楽しいです。さらに私は括弧書きしたような日本語を交互に交えて読み聞かせています。 動詞のフレーズはずっと赤ちゃ...

初節句に思うこと

きょう5月5日、日本では子どもの日でしたね。 伝統的には端午の節句ということで、0歳の男の子がいるわが家にとっては初めての日本式の子どものお祝い行事。大したことはできませんでしたが折り紙などで初節句のおめでたい気分を演出してみました。 それにしても赤ちゃんの成長って早いですね。一日単位ではそう変化に気づきませんが、一週間前の彼の様子を振り返ってみると口から発する喃語だけでもどんどんバリエーションが増えてきています。  Da da, aba ba, ubbbb, cha, ta…と、元気いっぱいに大きな声で話してくれる姿は本当にかわいくて、今しか聞けない言葉(音?)だと思うとよりいっそう愛おしいです。 発話の発達に比例して身体の動きもどんどん活発になってきました。早くも生後4ヵ月で寝返りを覚えた彼は、今ではベッド、ソファー、そしてベビーチェアのような狭い面積でも横たえさせた瞬間すぐにくるっと向きを変え、身体を反らせてじたばたするので危ないこと。 おもちゃにも好き嫌いを示すようになり、目下のお気に入りはカラフルな木製のおもちゃとこちらの布絵本たち。初めて与えたときからすぐに夢中になり、口でかじったり手でくしゃくしゃにしたり、大きなものはすぐ身体に絡めてこの通り。本じゃなくてお布団みたいですね。 こうした読むのではなく触る”絵本”というか玩具や、ページの一部がくりぬかれたり音が鳴るように仕掛けてあったりする絵本を英語では sensory book と呼ぶようです。つまりは五感でたのしむ本ということですね。日本語では仕掛け絵本というのでしょうか。 息子はどちらかというとまだ布絵本のほうにに首ったけですが、本として出版されている類のsensory bookもわが家に一冊あって、「なかとそと」の概念について簡単に学べるようになっています。 こういう凸凹のある本は0歳の赤ちゃんの初めての絵本として選びやすいと思います。息子と同年齢のお友だちの赤ちゃんにも別のものをクリスマスにプレゼントしたらすぐに気に入ってくれて、先日会ったときもボロボロになったそれを繰り返し夢中で開いて見せてくれました。 本屋さんに行けば電池で音が鳴るような類の仕掛け絵本も売っていますが、個人的にはあまり好きではありません。赤ちゃんは音の鳴るものに良く反応することを知っていますが、機械的に音が出るおもち...

息子へ受け継ぐ絵本

三寒四温からだんだん春の陽気が続くようになってきました。 ボローニャには緑の広がる公園がたくさんあるのでピクニックに行けたらどんなに良いだろうと思いますが、なかなか収束しないコロナウイルスによる外出制限でそうもいかず。 せめて本の世界だけでもピクニック気分をというのもなんですが、こんな季節にぴったりの絵本が家にもありました。 主人公は青と赤のとんがり帽子を被った双子のノネズミ。ここまで聞けば、きっともうお分かりですね。 中川李枝子が実妹の山脇百合子と生みだした名作、ぐりとぐらのシリーズのひとつです。1970年後半以降に生まれた人なら、幼少期にこのシリーズの本を一度は読んだことがあるのではないでしょうか。 私もその世代ですが、記憶にあるお話は大きな卵でカステラを作る最初の一作「ぐりとぐら」と、実家にあったこの一冊だけ。1988年に刷られた第17版で結構な年季が入っています。 でも今あらためて調べてみると、いろんなシリーズが出ているんですね。もともと保母さんだったという著者は、子どもたちをワクワクさせるようなお話を作りたくてこのノネズミたちの物語を書き出したそうです。 確かに、遠い記憶をたどるとカステラのお話もワクワクして読んだ気がするし、この遠足の本を読み返してみても随所にワクワクの要素が詰まっています。 たとえば野原で足をひっかけた毛糸をたどっていく先には何が…?というワクワクもそうですが、遠足に出かけた二匹のワクワク感も本のあちこちに散らばっています。 特に微笑ましいと思ったのが、二匹がお弁当を食べるお昼きっかりに目覚まし時計をセットしているところ。物語が始まるやいなや、もうそろそろ時計が鳴るころだとぐりが言いますが、実際はまだ10時だったという気の早さ。 こういう待ちきれない気持ちとか、その時間が来るまでに次々と楽しいことをしていく二匹の描写がとても生き生きしていて、こちらまで今すぐ遠足に出かけたくなってきます。 ぐり ぐら ぐり ぐら とかけ声のように主人公の名前が繰り返されるところをはじめ、まるで言葉遊びをするようなストーリーの流れがまた魅力的。親子で声をあわせて読んだらきっと楽しいでしょうね。 0歳児にはまだ早いとわかっていながらも、イタリアの住まいにはあまり日本語の本がないので息子に日本語を聞かせるべく時折音読しています。 ところで、どちらかというと大人...

大好きな復刻絵本

本を読むよろこびって何でしょう。 新しい知識が増える。知らない世界を垣間見る。インスピレーションがひらめく。絵本の場合はこれらに加え、美しい挿絵を楽しめる。 こうしたことは年々増えつつある電子ブックでも可能ですが、刷られた本でしか味わえないよろこびは格別です。 たとえば、ページをめくるよろこび。ゆっくりおそるおそる、あるいはパラパラ駆け足で。自分のペースでめくれるのは紙の本だけ。 上質な紙で製本されたものなら、その指ざわり。 年季が入ったものなら、その独特の匂い。 あるいは、インクと紙ならではの温かみと深みのある発色。 特に上の三つについて、とびきり上質なよろこびを与えてくれるのがこの本です。 アメリカの画家で絵本作家だったダーロフ・イプカーの、I Like Animals。かつてボローニャ旧市街に借りていたアパートの近所にそれはそれは小さな本屋があったのですが、そこでひとめぼれしたものでした。 何が良いかって、もともと1960年に出版されたものが廃盤 となっていたところ、2014年に 初版さながらの伝統的な色味や風合いを忠実に再現したかたちで復刻出版されたものなんです。作者によるオリジナルの刷版は失われていたので、現代のリマスター技術が用いられたとのこと。 そんなことは知らず、ただそのぬくもりある色彩、やさしい手ざわり、うっとりするような挿絵が気に入って購入したのですが、ページをめくるたびにそれはそれは幸せな気持ちになれる宝物のような一冊。 こんな本にはそう巡り合えません。手持ちの数ある絵本の中で一番美しいと言っても良いかもしれません。 なかなか希少なようで、出版元のホームページでは欠品になっていたり某大型書籍通販サイトでも稀にしか出品されていなかったり。手元の一冊も例のお店では最後の在庫でした。 息子が生まれるまではアート作品のように私自身が眺めて楽しんでいましたが、彼が生後1ヵ月の頃、初めてこの本で読み聞かせをしてみました。対象年齢は小学校低学年くらいからになりそうですが、カラフルな毎ページに0歳の息子も釘付け。 声に出して読むと、とてもリズミカルな構文で書かれていることもわかります。 仮定法と未来系が繰り返し出てくるので、英語を学習中の中高生などにもお勧めできるでしょうか。 主人公は生き物が大好きな男の子。「僕が○○だったら、あんな動物、こんな鳥、それから…...