赤ちゃんの本をもっと探してみたい
と前回の投稿に書いたとたん、先日こんなセンスの良い0歳児向けの絵本をプレゼントしてもらいました。
贈り主は半年ぶりに再会した友人。大学院の下級生で、普段はアートマネジメントを研究しながら花の油絵を描くアーティストとしても活動しています。まだ彼女にこのブログのことは知らせてなかったのですが、「ちょうどこんな本が欲しいと思っていたところなの!」と大喜びで受け取りました。
La mia giornata、つまり「ぼくのいちにち」というタイトルで、赤ちゃんが朝目覚めてから夜またお布団に入るまでの一日がモノトーンに黄色の差し色だけを使ったイラストでかわいらしく描かれています。
でも、この本はさらにその一段階前の、色そのものの識別さえこれからという新生児にも適しているようです。というのも、表紙にstimoli visivi in bianco e nero(白黒で視覚の刺激)とあるので気になって少し調べてみたところ、白黒の絵はコントラストが強いため視力が未熟な生後間もない赤ちゃんでも認識しやすく、結果的に視覚の発達や脳の刺激を促す効果があるとのこと。
なるほど、そんな科学的根拠に基づいて出版された本だと知ると、一見シンプルなようでなんとも奥の深い作りに感心します。毎ページにスライド式のカードが組み込まれていて、それを引き出すと背景の白黒が反転した別の絵が飛び出す仕掛けになっています。
息子にもすぐに大のお気に入りの本となり、そばに置くと夢中で飛びつきます。上や横にカードが伸びてくるのも面白いみたいで、読み聞かせると目をキラキラさせながらキャッキャッと大笑いしてくれ、他の絵本では見せなかった反応にこちらも嬉しくなりました。
どのページもbuongiorno(おはよう)、mi vesto (きがえるよ)という調子で簡単なフレーズが一つだけ書いてあり、自由に絵を見て語りかけながら読むのが楽しいです。さらに私は括弧書きしたような日本語を交互に交えて読み聞かせています。
動詞のフレーズはずっと赤ちゃんを主語にした一人称単数形、かと思いきや最後のbuonanotte(おやすみなさい)の手前のページだけleggiamoとあります。これはleggere(読む)の一人称複数形。つまり、”(パパやママと)一緒に本を読んでから寝る”となっているところが微笑ましいです。
全16ページに描かれた赤ちゃんの一日。着替えて、食べて、遊んで…とても単調ですが、みんなこんな毎日を繰り返しながらだんだんいろんなことができるようになっていくんですね。
さて私の日常はというと、まだまだ息子のお世話で手がいっぱいです。合間に何とか家事をこなし、自分のことはいつも後回し。彼が起きている時間はなかなか手があかないどころか落ち着いて考え事をすることもできません。
でも、お天気が良い日はチャンス。散歩中に寝てくれるからです。彼のお腹を満タンにしたらベビーカーで連れ出すこと十数分、眠ったタイミングで近くのベンチに陣取ってラップトップやノート、あるいは読みたかった本を開いてしばしの自分時間。眠りが浅いときなどは予告なくすぐに打ち切られますが。
このブログもそんな調子で、いつも街中のいろんな公園で書いています。ところが今週はずっと不安定なお天気で、連日どんよりとした曇り空やにわか雨、強風が吹き荒れていたのでこの作戦も休止に。
ここでひとつ面白い話をしましょう。わが家はサン・ルッカという寺院が建つ丘の麓にあります。この寺院、前々回の投稿に載せた公園の写真にも小さく写っているように街のいたるところから見え、飛行機の着陸時、電車が中央駅に差し掛かるとき、高速道路を走っているときにもまずこのドーム屋根の建物が目に入ると「ボローニャに帰ってきたなぁ」と思うような街のシンボル的存在です。
この寺院には”Quando scende la madonna di San Luca, piove a Bologna.”という言い伝えがあって…どういうことかというと、ここに祀られている聖母像がちょうど毎年5月の今頃に旧市街のサン・ピエトロ寺院へ降りてきて一週間留まるのですが、その間は決まって雨が降ると言われているんです。
本当か嘘か、マリア様の不在中はお天気に恵まれない日々が続いています。今日も晴れ間を狙って近所の公園に来きましたが、雲行きが怪しくなってきたのでそろそろ帰ります。
それではまた次回まで、buona giornata(ごきげんよう)!
この本について
著者 Raffaella Castagna
挿絵 Raffaella Castagna
出版 2021年 Lapis
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