スキップしてメイン コンテンツに移動

初節句に思うこと

きょう5月5日、日本では子どもの日でしたね。

伝統的には端午の節句ということで、0歳の男の子がいるわが家にとっては初めての日本式の子どものお祝い行事。大したことはできませんでしたが折り紙などで初節句のおめでたい気分を演出してみました。

それにしても赤ちゃんの成長って早いですね。一日単位ではそう変化に気づきませんが、一週間前の彼の様子を振り返ってみると口から発する喃語だけでもどんどんバリエーションが増えてきています。 

Da da, aba ba, ubbbb, cha, ta…と、元気いっぱいに大きな声で話してくれる姿は本当にかわいくて、今しか聞けない言葉(音?)だと思うとよりいっそう愛おしいです。

発話の発達に比例して身体の動きもどんどん活発になってきました。早くも生後4ヵ月で寝返りを覚えた彼は、今ではベッド、ソファー、そしてベビーチェアのような狭い面積でも横たえさせた瞬間すぐにくるっと向きを変え、身体を反らせてじたばたするので危ないこと。

おもちゃにも好き嫌いを示すようになり、目下のお気に入りはカラフルな木製のおもちゃとこちらの布絵本たち。初めて与えたときからすぐに夢中になり、口でかじったり手でくしゃくしゃにしたり、大きなものはすぐ身体に絡めてこの通り。本じゃなくてお布団みたいですね。

こうした読むのではなく触る”絵本”というか玩具や、ページの一部がくりぬかれたり音が鳴るように仕掛けてあったりする絵本を英語では sensory book と呼ぶようです。つまりは五感でたのしむ本ということですね。日本語では仕掛け絵本というのでしょうか。

息子はどちらかというとまだ布絵本のほうにに首ったけですが、本として出版されている類のsensory bookもわが家に一冊あって、「なかとそと」の概念について簡単に学べるようになっています。

こういう凸凹のある本は0歳の赤ちゃんの初めての絵本として選びやすいと思います。息子と同年齢のお友だちの赤ちゃんにも別のものをクリスマスにプレゼントしたらすぐに気に入ってくれて、先日会ったときもボロボロになったそれを繰り返し夢中で開いて見せてくれました。

本屋さんに行けば電池で音が鳴るような類の仕掛け絵本も売っていますが、個人的にはあまり好きではありません。赤ちゃんは音の鳴るものに良く反応することを知っていますが、機械的に音が出るおもちゃはあまり与えたくないというか。好みの問題なので、悪しからず。

こうなると、どんなおもちゃや本を買い与えるかというのは親の嗜好に左右されるのだと気づきます。私にとっては初めての子育てなので、何を選ぶかは手探り状態。

贈り物でも自宅用でも、普段は店頭で見て直感的に気に入った本を買うことが多いですが、お友だちママの口コミもときどき参考にしています。

でも、乳児対象のものだけでも無数にある絵本。どれから手に取れば良いかわからなくなってしまいそうです。そんなときに、ブックスタートのようなお勧め本のリストと最初の一冊が一緒に手元に届くプログラムがあると助かりますね。

え、ブックスタート?日本でも一部の自治体が実施しているようですが、もともとは1992年にイギリスで生まれた、対象地域に住む0歳児から小学校就学前までの児童全員に無料で本が配られるプログラムのことです。読み聞かせのアドバイスなんかももらえるみたいですよ。

今は世界各国に広まったこの取り組み、各国各自治体によって少しずつそのシステムは異なるようですが、基本的にはイギリスのそれと同じ年頃の乳幼児とその保護者や教育者が対象となっています。

私が暮らすイタリアには Leggere per Crescereという名前の似たようなプログラムがありますが、本の無料配布はなく0歳児からを対象とした読み聞かせ推奨のための情報共有に特化されているようです。

まだ言葉もわからないうちから絵本なんて…と思われる親御さんもいらっしゃるかもしれませんが、早い段階から毎日本に触れさせることは子どもの感情や文化的な発達に良い影響を与えるという理論が土台となってこうした活動が行われています。

私自身、特に乳児への読み聞かせは言葉を覚えさせるためではなく親子のふれあいのためにと考えているので、母親である自分が好きな絵本は語彙が多めでも気にせずどんどん読み聞かせています。以前の投稿にも書いたように、私の膝の上で抱っこされながらそばで声を聞くことで息子もいい気分でいられると感じています。

とはいえ、赤ちゃんのときにこそ触らせたり読み聞かせたりしたいような仕掛け絵本などは今だけのたのしみ。ボローニャにある大好きなこちらの図書館も予約制ながら再開したので、近々息子を連れてまだ知らない乳児向けの絵本を探しに出かけたいと思っています。

さて、今日はどちらかというと赤ちゃんへの読み聞かせ論のようなお話になってしまいましたが、写真でご紹介したイタリア語の「なかとそと」の絵本の情報を最後に添えておきます。

この本について

題  Dentro e fuori
著者 Gabriele Clim
挿絵 Gabriele Clim
出版 2015年 La Coccinella


いかがでしたか?次回更新のお知らせは Instagramで!

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ にほんブログ村 子育てブログ 海外育児へ  にほんブログ村 子育てブログ 子供への読み聞かせへ

ブログ村に参加しています。

blogmura_pvcount

このブログの人気の投稿

はじめて息子が選んだ本

このあいだボローニャには今シーズン初の雪が舞い降りました。すっかり冬本番です。 さて先月、旧市街にある東洋美術研究所に初めてお邪魔してきました。 前回 お話しした図書館の読み聞かせイベントで知り合った日本人のお友達が、ここで日本語絵本のバザーがあると教えてくれたんです。 研究所には例年ボローニャ国際絵本見本市へ日本の出版社が持ち込んだものが寄贈されるのだそうで、今回は書架に並べきれなくなった分を売りに出されるということでした。 一緒に行った息子も会場に入るなりすぐお気に入りの絵本を見つけました。それがこちら。 それも納得、ぐずったときは抱っこして窓から道を行き交う車を見せればご機嫌になってくれるし、おもちゃのミニカーをいつも肌身離さず持ち歩くくらい車が大好きな新・二歳児。 ひと月ほど前からは日本語で色を認識して言えるようにもなったので、シンプルに色分けされた車が登場するこの本は彼にぴったり。案の定、本を開くなり「キイロ、アオ、ブブ!」と夢中でお喋りを始めました。 車の色ごとに、ぱっぱっぱっ、ぶーぶーぶー、と走行音も違います。こんなにシンプルなのに目にも耳にも楽しい本で、0歳の赤ちゃんから読んであげられるおすすめの一冊です。 線のないやさしいイラストはなんだか見覚えがあると思ったら、かつてマリメッコ社でも活躍していたテキスタイルデザイナーの脇坂克二さんによるものでした。 さて、バザー会場の話に戻ります。色とりどりのブーブーの本に飛びついた息子にすかさず私は「この本いいね!買って上げるねー!」と言ってお菓子を与え、その間に他の絵本を物色。 普段は街の本屋さんに連れて行ってもじっとしていないからゆっくり本を選ぶどころかすぐ退散…という調子なので今回も恐る恐る連れて来たのですが、最初に彼の気を引く本が見つかったおかげで比較的ゆっくりお買い物ができたのでした。 「ママ、これ欲しい」とはまだ言えないけど、終始この絵本を手放さなかったので自分から欲しい本を選んだようなもの。これはちょっと記念の一冊になりそうです。 ところで、わが家からボローニャ旧市街は自転車で片道20分ほどの道のり。バスは息子がじっと乗ってくれないので普段のお出かけはいつも自転車です。 でもこの日はとても寒く今にも雨が降りそうなあいにくの天気で、楽しみにしていたバザーも諦めかけていたのですが…なんだか良い本に出逢...

五味太郎とペンギン親子に夢中

ずいぶんお久しぶりです。 いろいろな事情でしばらくこのブログをお休みしておりました。 書き出すとつい没頭してしまい、もっと目の前の子供との時間を優先するべきではないかと思ったり、目を傷めてしまったり。ブログの無期限休止の考えも頭をよぎりましたが、続けてほしいとの声もいただき、なんとも半年ぶりに新しい投稿を書いています。 読者のみなさん、お元気でしたか。新しく立ち寄ってくださったかた、はじめまして。 もちろん、私の絵本好きからくる息子への読み聞かせはお休みしていたわけではありません。むしろ、一歳を少し過ぎた頃から絵本への反応がどんどん積極的になって、ますます親子で一緒に読む時間を楽しんでいます。 まず、お気に入りの本というのがあって、それを毎日毎日自分で本棚から引っ張ってきては「ねえ、よんで、よんで」と言わんばかりに膝の上にのって読み聞かせをせがんでくれます。 それだけでもとってもかわいいけど、目を見張る成長といえば…最近こちらが話すことを理解し始めた彼は、絵本の内容もしっかりわかっているのです! 特に今日ご紹介するこちらの二冊は目下の大のお気に入り。まずは五味太郎さんの 「たべたのだあれ」。一歳になる前に買い与えた頃はまだ反応が薄かったのが、今ではページをめくるたびに「○○たべたのだあれ?」とこちらが問いかけると、絵を指さして「ア―、アー、」と答えてくれます。 もう一冊、息子を虜にしているのが畳の上に写っている「ぺんぎんたいそう」。親子ペンギンと一緒に、腕をふったり、足をあげたり、お尻をふったり。ほんとうにそのしぐさをまねながら何度も何度も自分でページをめくるんですよ。 最初それをしだした頃はびっくりしました。近所の図書館の司書さん一押しの絵本としてお勧めいただいたのですが、ほんとうに大当たりです。 昨夏日本に里帰りして以来、たくさんの日本語の絵本に触れ、気に入ったものは惜しまず買って集めてきました。なかには新しく出逢ったものだけでなく、子供の頃に私自身が親しんでいたけどもう手元にはなくて改めて購入したものもあります。 また普段から読書は基本的に原版の言語で、という考えの私ですが児童書に限っては日本語訳を選ぶこともあります。それは、またイタリアに戻っても日本語での語りかけや読み聞かせに力を入れていきたいから 。 あとは、今日は登場しませんが大好きなディック・ブルーナ...

創作読み聞かせ、してますか?

冬休みも終わり、また日常が戻ってきました。 みなさまは楽しい年末年始を過ごされたでしょうか。私たち家族は南チロル地方の雪山でホワイトクリスマスを、ボローニャで穏やかなお正月を迎えました。 雪山では生まれて初めての焚火に大興奮し、凍った湖の上を歩き、真っ白な丘の斜面を笑い転げながら駆け下りていた息子。そのあとはボローニャで久しぶりにいとこのお兄ちゃんたちと遊んでまたいろいろと刺激を受けたのか、この数週間で一段と成長した気がします。 お喋りも日々上達の一途で、いつの間にか二語で話すことが多くなりました。昨日は車の中で「おうち やー!」(お家、嫌)と、まだ帰宅したくない気持ちを繰り返し訴えていました。 このように何かを拒否するときの声の調子の強いこと。イタリア語でもはっきり「No!」と主張します。でも私が相手なら日本語で「やー!」で、イタリア人の義母はしばらくそれをドイツ語の"Yes"である「Ja」(ヤー)と聞き取って意味を真逆にとっていました。 対して肯定するときの声はとても嬉しそう。イタリア語では「Sì」と言えますが、 日本語ではなぜか「ねー」と言います。まだ言葉が話せなかったときは「うん」とうなずいていたのに、いつからこうなったのでしょう。 そういえば私が「これ、おいしいねー」とか「じょうずだねー」と語りかけてきたので、その語尾をいつしか肯定のニュアンスとして理解したのかもしれません。でも、このいつもやさしめに発音してくれる「ねー」がとても微笑ましくて私は大好きです。 意思表示がますますはっきりしてきた息子、寝る前に一緒に読む絵本も彼が決め、私が選ぶものはだいたい却下されます。お気に入りの本は数か月サイクルで変わるようで、この頃は「何がいい?」と聞くとほぼ決まって「ムーミン」と答えます。 もともと私がトーベ・ヤンソンのムーミン・シリーズが大好きで、小説や絵本が家に10冊ほどあるでしょうか。小説は児童書ながら大人の心にも響く言葉が散りばめられていて哲学的だし、鮮やかな絵本はため息が出るほど美しい。でも二歳の我が子に見せるのはまだまだ先と思っていたある日、ボローニャ児童図書館の幼児向けコーナーで見つけたのがこの本でした。 借りて帰って読み聞かせてみると息子もとても気に入った様子。ページ毎にある仕掛け扉をめくりながら読むのが楽しいみたいです。扉の下には...